image1b

ARCHIVE 2015/Mar.

 

大山茂樹・智子 二人展

「キッチンに立つ人が一番楽しい」
家族のために、自分のために、友人のために
その日の食事を作ることは、大事な人の身体を作ること。
貴くてかけがえのない仕事です。

でも、それは地味で目立たない裏方の仕事です。

毎日毎日、生きている限り繰り返される仕事です。

台所に立つ人が、他に色々なことを抱えて
いっぱい、いっぱいであっても、容赦なく
食事の時間は訪れる。

なんだか損な役回りだなあとため息まじりに
つぶやいてしまう日だってあります。

いや、そんなこと思っている暇も無いほど
疲れている時もあります。

一生の間、いったいどれだけの時間、そこにいるんだろう。

そんなことをつらつら考えていたある日のことです。

「食器戸棚から器を取り出してね、盛り付ける時。
それから後片付けをする時がいっちばん楽しいの。」

いかにも楽しくてしょうがないという笑顔交じりで話してくれた
方がいました。

「豆皿をひっくり返してごらん。」
「あっ、小さいのだけではなくてこちらの鉢も!」
「あれ、このお皿の下に何か付いてるよ。」

キッチンにもう一人いたら、きっとこんな会話が
繰り広げられるに違いない器。

大山茂樹さん、智子さんが作られる器の中には
こんな小さな楽しい驚きが沢山詰まっています。

器を裏返すと、色とりどりの野菜、お花、虫たち。
自然界の生き物たちが活き活きと息づいてる。

表からは想像できないような世界が広がっていたりします。

そう、まるで江戸時代の人たちが着物の裏地に凝ったように。

お二人の作る器の素材は、磁器土。
つまり、粘土ではありません。
通常、磁器作家の作る器は固くて
形もスタイリッシュな傾向が多くなるのですが、

遊びココロ満載のお二人は、

磁器だって土ものみたいに作っちゃうもんねー

なんておっしゃっているかどうかは分かりませんが

てびねりの手の感触そのままに
形もくねったり、ふわりふわふわしていたり。

絵だって別に描いていい範囲が決まってるわけじゃない、
大いにいろんなところにはみ出すわけです。

このゆるい感じと
器の透明感。

持って身体に優しい軽さ。

形も自在で
絵も自在。

何の衒いもない器は
生きとし生けるものたちへの
お二人の愛情が詰まってる。

そんな器を手にすると

毎日家族のために頑張っている人たちも
一人の孤独に向き合っている人たちも
涙を心の奥底にじっと溜めている人たちも

肩の力が抜けて、いつしか強張りかけていた顔に
笑顔が戻る。

私はそう信じています。

というわけで、そう、器に触れる機会が多い人ほど
楽しめる器なんですね。

食器戸棚から器を取り出して
盛り付け。

食べ終わったあとの器を洗う。
そして再び食器棚へ。

愛しい器と過ごすハッピーな時間。

多くの日常を過ごすキッチンで幸せでいられること。

これってかなりいい人生なのではと思います。

大山茂樹・ 智子 二人展

会期:2015年4/1(水) ~4/12(日) 4/7(火)休み
時間:12時~18時

ギャラリーKAIは自宅ギャラリーのため、住所は公開しておりません。
個展にいらっしゃるご希望の方はこちらまでご連絡ください。
ご案内状をお送りします。